働く人の不満をつかむために、社員アンケートを取る会社は多い。アマゾンは、そうしたデータを労働組合の動きの予測にも使っていた。カナダの労働委員会での手続きで開示された同社の社内資料から、その仕組みが明らかになった。
資料によると、「Atlas」と名づけられたこの仕組みは、労働問題の兆しや、労働組合が組織化を狙いそうな拠点を評価するためのものだ。倉庫などの拠点ごとに100点から900点で採点し、点数が低いほど、抗議やストライキが起きやすいと見る。すでに起きた拠点は、最も警戒度の高い「Tier 1」に分ける。資料のデータは2024年ごろのものだ。
予測には、数百の項目のデータを使う。社内アンケートの満足度や、質問に「答えたくない」と回答した割合。社内の意見投稿の内容と、その投稿への賛同の数。Redditには、アマゾンの倉庫や配送で働く人が集まる掲示板がある。そこで広がりはじめた言葉も拾い、話しているのが配達ドライバーか倉庫の作業員かまで調べることができるという。近くの拠点で抗議やストライキが起きているかどうか、地域の最低賃金、気温まで入っている。
資料の表では、米国、カナダ、英国の16拠点がTier 1に分類されていた。英国中部コベントリーの倉庫の欄には、労働組合「GMB」の名前と、「組織化の運動が進行中」の文字がある。一部の拠点の欄には、「即応チームの派遣:あり」と書かれている。
アマゾンは、英国の報道機関openDemocracyに対し、「拠点単位の分析で、個々の社員の意見や労働組合への加入は追っていない」と説明した。Atlasという仕組みは、英国ではいま使っていないという。
同じ資料に収められた管理職向けの研修には、こう書かれている。「社員の書き込みをSNSで探してはいけない。スパイ行為と見なされかねない」
