アマゾンの出品者は、自分が使うAIに売上と在庫のデータを読み込ませ、相談できるようになる。アマゾンは9月23日(米国時間)、出品者向けのAIを大きく作り直したと発表し、出品者のデータをつなぐ先として、アマゾン以外の会社のAIでは最初にアンソロピックのClaudeを選んだ。
ステージで見せた「在庫はもつ?」
アマゾンは、シアトルで開かれた出品者向けの年次イベントで発表した。アマゾンの出品者向けサイトの記事によると、ステージではスニーカーの手入れ用品ブランドを営む出品者が、自分で作ったAIアシスタントを出品用のアカウントにつなぎ、使い方を見せた。
AIはまず、その週の金曜に新しいスニーカーが発売されるというニュースを見つけ、需要が高まりそうだと知らせた。同じ報告には、いちばん売れている商品の仕入れ値の値上がりも入っている。
出品者の質問はこうだ。新しい仕入れ値で利益はどうなる? 金曜のあとに注文が増えても、在庫は足りる?
AIはアマゾンから出品者の今の売れ行きと在庫の数を取り出し、仕入れ先の数字と比べて答えた。利益は薄くなる。今のペースで売れれば、注文がいちばん増えるときに在庫が切れる。そのうえで2つの商品の価格を変えるよう勧め、アマゾンの倉庫へ送る納品の下書きまで作った。
実演した出品者は、会場にこう話したという。「私が作ったものを、みなさんが作る必要はない。難しいのはAIではなく、売上のデータをAIに入れることだった。そこがプラグインで簡単になった。アカウントをつないで、質問を始めればいい」
見ていない間も動く見張り役
アマゾンの発表によると、出品者の管理画面「セラーセントラル」にあるAIにも、見張り役の機能が加わる。してほしいことを書いておけば、出品者がログインしていない間も動きつづける。
例として挙がっているのは「売れ筋上位10商品のどれかが星4を下回ったら知らせて、対応案を作って」。さらに「主力のカテゴリーで競合の隙を見張り、見つけたら価格を変えて商品ページを更新して」と頼むこともできる。
勝手には動かない。同社の説明では、提案だけにするか、実行までさせるかを出品者が選ぶ。実行までさせる場合も、AIは出品者が中身を確かめて承認してから操作する。AIの操作はすべて記録に残る。
このAIは、出品者がどう値段を付け、在庫を回し、何を伸ばしたいかを覚えていく。覚えた内容は、セラーセントラルでもClaudeでも引き継がれるという。
Claudeにつなぐのは60秒
同社によると、Claudeとの接続には約60秒かかり、コードを書く必要はない。つなぐと、Claudeで商品の一覧や売上の分析、在庫の数、販売実績の指標を確認できる。セラーセントラルと同じように、価格設定などの操作もできる。操作には出品者の承認が必要だ。
発表では、すでにClaudeで会計ソフトや仕入れ先のデータをまとめている出品者も多いという。プラグインをつなげば、アマゾンの売上と在庫もClaudeで確認できる。
Claudeにつなぐのと同じプラグインを、アマゾンは自社の業務用AI「Quick」にも用意した。Quickでは文書や表計算を作り、調べものをし、メールや予定表と連携できる。
日本の出品者はいつから
Claudeとのプラグインは、いまは米国の出品者向けのベータ版だ。ほかの国には今後広げるとしているが、日本の時期は示していない。
Quickには、世界中の出品者に向けた特典がある。アマゾンによると、出品者の主アカウントの持ち主は、上位プラン「Quick Plus」を12ヵ月無料で利用できる。申し込みは2026年12月31日まで。同僚2人にも同じ特典を付けられる。
9月には、ChatGPTの回答の下にアマゾンの広告主が広告を出す取り組みも始まっている。こちらはChatGPTで買い物の相談をする人向けで、今回のプラグインは出品者の仕事に使う。
仕入れ値が上がったら、Claudeに「この値段で利益は?在庫は金曜までもつ?」と打ち込む。答えを読み、用意された納品の下書きを確かめて、承認のボタンを押す。アマゾンは出品者にこんな店の回し方を示した。
出典
- Amazon gives sellers an even smarter Seller Assistant and a new plugin for Amazon Quick and Anthropic’s Claude(About Amazon、2026年9月23日)
- Why Amazon’s new AI seller tools feel like a turning point(Amazon Selling Partners、2026年9月23日)