今日の知識を装備する

動画を作るのに「動画生成AI」を使わない Claudeの新機能の作り方

Photo: アンソロピック(公式記事の画像)

言葉で頼めば動画を作ってくれるAIは、すでにいくつもある。映っている人物も景色も、AIが描き出したものだ。アンソロピックが10月8日にClaudeに加えた動画の機能は、それとは違う作り方をとっている。

使うのは、会社やチームで契約したClaudeだ。メッセージ欄に「/motion」と打ち、たとえば「四半期の報告書を、全社会議で流す30秒の説明動画にして」と頼む。するとClaudeは、報告書の文字やグラフ、図形、画像に動きをつけ、短い動画として再生してみせる。「Motion」と名づけられたこの機能では、取締役会に出す資料のグラフに動きをつけたり、新しい顧客に製品の使い方を見せる動画を作ったりすることもできるという。

違うのは、Claudeが作るのが映像そのものではなく、文字やグラフを動かすためのプログラムだという点だ。アンソロピックによると、Motionは動画を生成するAIを使っていない。だからAIが作った映像も、AIが作った人物も出てこない。そのかわり、どの言葉も数字も、動きのタイミングも、あとから書き換えることができる。グラフの数字が一つ違っていれば、そこだけを直せばいい。同社は、自分がまとめた数字や仕事の成果を、ほかの人に説明するときに使う機能だとしている。

直すときは、編集画面で自分で手を入れるか、Claudeに頼む。仕上がった動画はMP4のファイルとして保存でき、さらに手を加えたければ、アドビの動画編集ソフトや、AIの動画サービスのRunwayなどに読み込んで編集を続けることができる。いまは試験提供の段階で、利用できるのはチーム向けのTeamと企業向けのEnterpriseのプランに限られる。個人の有料プランでは利用できない。

同じ日、Claudeにはもう一つ、会社のデータからグラフを並べた画面(ダッシュボード)を作る「Dashboards」も加わった。会社のデータで知りたいことがあっても、ふつうは担当の部署に頼むか、データベースを調べるSQLのような命令文を自分で書くしかない、とアンソロピックは説明する。Dashboardsでは、BigQueryやSnowflakeといった会社のデータをためておくサービスや、顧客管理のSalesforceにClaudeをつなぎ、普通の言葉で聞けばいい。

データが変われば、画面の中身も新しくなる。数字をクリックすれば、その数字をどのデータからどう計算したかが見え、グラフごとにデータを最後に更新した時刻も出る。こちらは有料プランで試験提供している。

公式の見本では、自転車のシェアサービスを運営する人が、1年分の利用記録をもとに頼んでいる。「丘の上の駐輪場が、平日は毎朝8時15分までに空になる。原因を突き止めたい」。Claudeが作った画面には、7月から9月に利用者が空の駐輪場に行き当たったのが4,200回で、そのうち71%が丘の上だったことが並ぶ。朝のラッシュで自転車が坂の下へ流れるため、平日は1日92台を丘の上へ戻す必要があるという数字も出ている。