開発に失敗した薬の詳しい記録は、論文には一部しか載らない。開発した会社が閉じれば、残りの記録も失われかねない。ChatGPTを開発する営利法人OpenAI Group PBCを管理する非営利法人、OpenAI財団は9月15日(米国時間)、こうした記録を含む医療研究のデータを作り、保存し、研究者に公開する助成プログラム「Public Data for Health」を始めると発表した。
初期の助成は、非営利団体や大学を対象に総額1億2500万ドル超だ。助成先には、薬の候補の体内での動きを予測するデータや、がんワクチンの研究データを作る団体もある。失敗した薬の記録を保存して公開するのが、支援例の一つCTD Commonsだ。
薬の承認申請では、開発会社が試験や製造に関する資料を規制当局に出す。これらを国際的に使われる形式でまとめた書類が「CTD」だ。財団によると、動物を使った毒性試験や製造方法、米食品医薬品局(FDA)とのやり取りなどが含まれる。
CTD Commonsは、非営利団体1Day Soonerが進める記録保存の計画だ。バイオ企業の破産手続きを調べ、裁判所を通じて開発記録の利用権を取得し、公開することを目指す。手に入れた記録は個人を特定できる情報を取り除いて、検索できる公開の書庫に載せる。
財団が価値を見いだすのは、この失敗の記録だ。記録が公開されれば、新たに薬を開発するチームは、似た薬についてFDAが何を求めたかを調べられる。将来は、AIがこうした記録から薬が失敗する理由や成功する理由のパターンを見つけ、審査や治験の進め方の改善につながりうると財団は書く。
検索できる書庫は整備中で、いま公開されているのは寄付された資料の例だ。失敗や中止に終わった薬の記録を新たに取得し、研究に使える形で公開できるかを確かめるために、財団は助成すると説明している。
出典
- Public Data for Health(OpenAI Foundation、Abhishaike Mahajan、Jacob Trefethen、2026年9月15日)
- CTD Commons(CTD Commons、2026年9月15日確認)
- The Repository(CTD Commons、2026年9月15日確認)
- Terms & Data License(CTD Commons、2026年9月15日確認)
- OpenAI Foundation を共に築く(OpenAI Foundation、2026年8月20日)
- Our structure(OpenAI、2026年9月14日保存のアーカイブで確認)