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録画ソフトを別に開かなくていい。 OpenShotなら色補正も切り抜きも1本

Photo: OpenShot

画面を録画するソフトを立ち上げ、撮り終えたファイルを編集ソフトへ読み込ませる。色が暗ければ、また別の道具を開く。動画を1本作るのに、いくつのソフトを行き来しているだろうか?
無料の動画編集ソフトOpenShotが8月30日、4.0を公開した。画面の録画も色の調整も本体に入り、被写体の切り抜きはパソコンの中で動くAIが受け持つ。無料のソフト1本で、どこまで作れるようになったのか。

OpenShot 4.0は8月30日に公開された。画面、ウェブカメラ、マイク、パソコンから出る音の録画と、色を扱う専用画面、被写体を追うマスクが加わり、効果は10種類増えた。マスクに使うモデルは手元のパソコンで動き、クラウドの契約はいらない。

画面の録画が動画編集ソフトの中に入った

4.0はマイク、画面、ウェブカメラ、パソコンから出る音を、OpenShotの画面から直接録る。録った素材は種類ごとに別のファイルとして残り、タイムラインにも別々のクリップとして並ぶ。

マイクの声とパソコンから出る音は混ざらない。声だけを大きくしたり、カメラの映像だけを切り出したりする手直しを、録り終えたあとで加えられる。画面とウェブカメラを同時に録ると、OpenShotはカメラ映像を角の丸い小窓として画面の上へ自動で重ねる。小窓の位置も大きさも、ふつうのクリップと同じ設定として後から動かせる。

録っている間の様子も、途中で確かめられる作りだ。マイクのメーターの振れやウェブカメラの映像、タイムラインに伸びていく仮のクリップが、そのまま画面に映る。録画を止めると、仮のクリップは完成した素材に置き換わるという。ファイルはプロジェクトのassetsフォルダに収まるので、素材と作業データが散らばらない。

ナレーションを入れる人向けの近道もある。クリップを右クリックしてAudio > Recordを選ぶと、再生位置がそのクリップの頭へ戻り、下のトラックが自動で選ばれる。何度か録り直してから使う素材を決めたいなら、トラックを指定しないで録ればよい。素材だけがプロジェクトに増え、タイムラインには置かれない。録画の仕組みはOSごとに違い、Windows、macOS、Linuxは画面の作り方が2通りあり、どちらでも録れる。何を録れるかはOSと、OSに録画を許可したかで変わると、OpenShot 4.0の告知は断っている。

色を直す道具が本体にそろった

4.0には色を扱う専用の画面が加わった。暗い映像の持ち上げから、カラーホイールやカーブを使った作り込みまで、Color Gradeという同じ効果でまとめて扱う。

動画のクリップを右クリックしてLook > Adjust Colorsを選ぶと、Color Gradeが付き、必要な道具がそろった画面が開く。露出、コントラスト、色温度、ハイライト、シャドウ、彩度が並び、複数のカメラで撮った映像の色味をそろえる場面でも効く。カラーホイールは全体、シャドウ、中間、ハイライトに分かれているので、影だけを冷たく、ハイライトだけを暖かく寄せられる。カーブは映像全体と赤・緑・青の4本があり、点をつかんで曲げる。他のソフトで作った色の設定(LUT)も持ち込め、元の色とどれだけ混ぜるかを決められる。

色の判断をモニターに任せない仕組みも入った。画面の明るさや部屋の照明で、映像は実際より良く見えたり悪く見えたりする。4.0はスコープと呼ばれる4種類の計器を備え、映像の中の明るさと色の分布を絵にして示す。顔や空だけを四角く囲んで、その部分の数値を見る機能もつく。人の肌が不自然な色になっていないかを確かめるための基準線も引かれている。

色に慣れていない人向けには、押すだけで色が整う下ごしらえが用意された。押したあとも数値を自分で動かせるので、使い切りのフィルタとは違い、後から好きなだけ手を入れてよい。明るさを変える時点を自分で指定できるため、撮影の途中で日が陰って明るさが変わった場面も、時間に沿って直せる。

切り抜きのAIは手元のパソコンで動く

被写体を選んで追うObject Maskは、無料で配られるモデルを自分のパソコンで動かす。クラウドの処理もAIのアカウントもいらず、素材を外へ送らずに済む。

背景を消す、動く人物だけを抜く、といった作業は、これまでコマごとに輪郭をなぞる手仕事だった。4.0では被写体の上に「ここ」という点を、周りに「ここは違う」という点を打つ。選んだ結果がプレビューに出て、そのままクリップの終わりまで追いかける。被写体の形が大きく変わる場面や、物の陰に隠れる場面では、点を足して直す。

無料で配られている3つのモデルを、使うときにOpenShotが自動で取り込む。速さはパソコンとモデル次第だが、機能そのものは有料のクラウドに縛られない。クラウドでの処理も、AIのアカウントも購読もいらないと、公式ブログは書いている。社外に出せない映像を扱う職場では、この違いが効きそうだ。

できたマスクはそのまま効果として見せるほか、BlurやPixelate、Color Gradeのマスク元としても使い回せる。被写体だけをぼかす、反転して背景だけ色を変えるといった組み合わせが、1本のソフトの中で完結する。物体を見つけるObject Detectionも更新され、無料で配られているYOLOv5のモデルに対応した。

Androidで動く下地も入った

4.0は画面まわりを作る土台のQt 6への対応を広げ、新しいLinuxでも動きやすくなった。この土台があれば、今後Androidにも広げやすいと公式ブログは書いている。ぼかしなど一部の効果の描画も、あわせて速くなったという。

録画から色の調整まで1本で片づく編集ソフトが、AIの処理まで自分のパソコンへ引き取った。Androidで動かす準備は、すでに始まったという。

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