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AIのDMCA申告でGoogle Playからマイクラ代替アプリが消えた

Photo: Luanti

アプリがストアから消えるとき、画面に理由はほとんど書かれない。著作権の申し立てがあった、とだけ伝えられる。その申し立てを、AIに侵害を見つけさせて出す会社が現れている。ブランド保護を売るアメリカのTracer.AIがマイクロソフトの代理で削除通知を出し、オープンソースのゲーム基盤LuantiのアンドロイドアプリがGoogle Playから消えた。だが、このアプリにはゲームが1本も入っていない。AIは何を見て、Minecraftの侵害と判定したのだろうか。

Luantiのアンドロイドアプリは、2026年8月27日の告知の時点でGoogle Playから消えた。削除通知が根拠として挙げたのは、Minecraft Java版1.9のアメリカ著作権局への登録番号1件だけで、どの素材が侵害にあたるかは書かれていなかった。

DMCA申告の根拠は登録番号1件だけだった

通知にあったのは、Minecraftの著作権のある素材を許可なく使っている、という一文と登録番号1件だけだ。どの素材のどこが該当するかの説明はない。

DMCAはアメリカの法律で、Google Playのような配信元が侵害の申し立てを受けたとき、中身を落とせば賠償の責任を負わずに済む手順を定める。申し立てる側は何がどう侵されたかを示す義務を負うが、Googleに届いた通知に並んだのは「US Reg. #TX 8-192-097」という番号だった。Luantiが調べると、これはMinecraft Java版1.9のアメリカ著作権局への登録にあたる。

Luantiは削除の経緯を書いた記事で、アプリに同梱している画像素材を1枚残らず並べてみせた。Luantiはゲームではなく、ブロックを積む遊びを自分で作るための土台で、ゲームもゲーム用の素材も同梱しない。遊ぶ人は、アプリの中のゲーム一覧(ContentDB)から有志の作品を落としてくる。かつて同梱したMinetest Gameも、2023年12月にアプリから外れた。文字の書体などは、出所をライセンスファイルに明記する。

前回は元に戻るまでに46日かかった

同じ会社から同じ趣旨の通知が届いたのは2023年3月で、Luantiが異議を出してからアプリが戻るまでに46日かかった。DMCAが定める期限は、10営業日以上14営業日以内だ。

Luantiが異議を出したのは2023年3月25日、アプリが戻ったのは5月10日だった。DMCA第512条(g)(2)(c)は、異議を受け取ってから10営業日以上14営業日以内に元へ戻すよう配信元に求める。Googleはその期限を守らなかった。

今年2月には、同じ会社が同じくマイクロソフトの代理で、Allumeriaという個人開発のブロック風ゲームにも通知を出し、Steamの店頭から一時的に消えた。表で騒ぎが大きくなったあと、マイクロソフト側が通知を取り下げている。

アプリが消えている間、遊ぶ人はストアで見つけられず、更新も受け取れない。広告だらけの怪しい派生版へ流れる恐れもある。Luantiは非営利で、根拠のない通知と何度も争う体力はないと書いた。いまのところアンドロイド版は、自由なソフトだけを審査しておく配布元(F-Droid)と、Luanti自身のサイトのAPKから入れられる。

削除を代行するAIは速さを数字で誇る

Tracer.AIは、AIエージェントで侵害を見つけ、削除まで代行する会社だ。同社が売りとして並べるのは、削除の速さと件数の数字だった。

同社は2024年のブログで、削除までにかかる日数を業界平均の60日から9日へ縮めたと書き、85%の短縮とうたう。審査の件数は前月比で2倍、削除の件数は44%増、審査にかかる時間は従来の6分の1だという。見出しには「Human-in-the-Loop AI」と掲げ、AIに人の確認を組み合わせると説明する。

だが、Googleに届いた通知には、どの素材が侵害にあたるのかが書かれていなかった。Luantiは、あいまいな通知をAI任せで送るのをやめ、人が確かめたうえで具体的な証拠を添えるよう、マイクロソフト、Mojang、Tracer.AIに求めた。Googleに対しても、通知の確かめ方を改め、アプリを落とす前に開発側が答えられる仕組みにしてほしいとしている。

ブロックの積み木は誰のものでもない

立方体を積む遊びそのものは、誰にも所有できない。アメリカ著作権法102条(b)は、アイデアや手順そのものに保護が及ばないと定める。

Minecraft自体、2009年のInfiniminerというゲームの見た目に影響を受けて生まれた。その後もHytaleのような作品が続き、ブロックのゲームは1本の作品ではなくジャンルとして広がった。Mojangとマイクロソフトが自社の画像や音を守るのは当然だが、ジャンルごと囲い込むためにDMCAを使うことはできない、というのがLuanti側の言い分だ。

Luantiは2010年、celeron55という開発者が非力なパソコンでも動く箱庭を作ろうとして書きはじめたものだ。2011年にはLuaという言語で中身を作り替える仕組みが加わり、2024年にMinetestからLuantiへ名前を変えた。ヨーロッパでは学校の授業でも使われる。

ContentDBに上がるゲームや素材は、有志が1件ずつ目で見て通す。画像の特徴を数値にして見比べるやり方(perceptual hashing)で自動の目印付けも検討中だが、最後に決めるのは人だとLuantiは書いた。速さと件数を数字で示す側とは、力の入れどころが逆になる。

箱庭を誰が作ってよいのかを、速さを競うAIではなく人が決める。その形に戻るかどうかは、Luantiが出した異議に何日で返事が来るかに表れることになりそうだ。

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